10月4日~6日 今年もノーベル賞の発表がありました。ノーベル物理学賞に真鍋淑郎さんが受賞されました。また、ノーベル医学生理学賞はアメリカ・カルフォルニア大学サンフランシスコ校のデヴィットジュリアス教授とアーデム・パタポーティアン氏が受賞しました。二人は、人が温度や痛みなどを感じる仕組みにかかわる受容体を発見したことが評価されました。
この中でもとりわけ『痛み』は、医師、研究者のみならずすべての人にとって大きな関心の的です。なぜなら、痛みというのは、生きていることの確証であり生涯切り離すことのできないものです。痛みを感じない人は体に危害が及ぶのを予知することができず、傷つき、感染し、成長も妨げられてしまいます。痛みは生命の保障に直結する情報源なのです。
先日、東京大学医学部講師であった清原迪夫先生の【痛みと人間】という本を読みました。その中で先生は、このように話しています。『視ること、聴くこと、嗅ぐこと、味わうこと、触れること、といった五感については他人と共感できても、痛みは誰でも知っている感覚でありながら共感する場がなく痛みは孤独である。また、痛みは情報源でありながら痛みのため眠れず、食欲も失い、ついには人間性を蝕んで人格をも変容してしまうこともある。そして痛みの測定。これがまた難しい。』と。
痛みの測定の難しさは、日々の診療でも考えさせられることがあります。痛みに対する表現は、人により様々です。その様々な表現の中から我々は、部位、性質、強さ、持続性、経過を聞きとり、検査結果と照らし合わせ診断をつけます。
痛みというのは、健康な時にはない感覚です。だからこそ、私たちは患者さんが痛みを感じた時、患者さん1人1人の言葉に耳を傾けなければなりません。そのために、普段から患者さんのかかりつけ医として痛みという孤独になる前に手を差し伸べる歯科医院でありたいと思います。
痛みのある方やかかりつけ医をお探しの方は、一度ご相談下さい。