妊娠期における歯科治療

日増しに秋の深まりを感じる季節になってきました。これからの季節は冷え込みが厳しくなるので体調管理を注意しましょう。

さて今回は、妊娠期における歯科治療についてお話しようと思います。

女性のライフステージにおいて新たな命を宿すという妊娠は重要なイベントです。その小さな命を育むため女性の体内では女性ホルモンが増加してきます。この女性ホルモンの増加は歯肉の腫脹、易出血性など口腔内へ影響を及ぼします。このホルモンの影響で歯周病は急速に進行してしまいます。さらに少量頻回の食事、つわりに伴う嘔吐やすっぱいものを好むようになることで口腔内が酸性に傾き、また唾液の分泌量は減り、ねばねばするため自浄作用がなくなり口腔環境は悪化傾向になると言われています。このことから平成24年4月に改訂された『母子健康手帳』にも「虫歯や歯周病などの病気は妊娠中に悪くなりやすいものです。歯周病は早産などの原因になることがあるので注意し、歯科医師に相談しましょう。歯科医師にかかるときは妊娠中であることを話してください。」と明記されました。

実際に妊娠中は、どの時期まで治療できるのか?妊娠しているがレントゲンや麻酔は大丈夫なのか?このあたりが疑問になってくるのではないでしょうか?

妊娠初期(妊娠0週~15週)は、胎児の重要な器官が形成される時期であり、流産の危険性もあるため可能であれば応急的な処置で対応することになります。妊娠中期(妊娠16~27週)は胎盤が完成して胎児も安定する時期であり外科処置を含む一般的な歯科治療ができます。産婦人科医の許可を得たうえで抜歯も可能です。妊娠後期(妊娠28週~39週)では診療姿勢などの配慮が必要になってきます。妊娠前に口腔内環境を整えることをお勧めしますが、妊娠中期には治療ができるようになるので不安な方は相談していただけたらと思います。

次に、レントゲンや麻酔についてです。歯科のレントゲンは被ばく量が少ないため、また口腔と胎児との間に距離があることから胎児への影響は無視できるレベル言われています。

一般的な歯科治療の際に必要とする局所麻酔は、意外かもしれませんが妊娠全週にわたりほぼ問題なく使用可能です。疼痛を我慢することの方が母体・胎児に悪影響をおよぼすと言われています。

 

妊娠は、正常な生理的現象ですが、ホルモンバランスの変化により妊娠特有の症状が体にでることがあります。当院では医科との連携をとることで妊娠中も患者さんに安心して診療を受けていただけるよう努めています。

今週から女性の先生もいますので、この機会に受診していただいたら良いのではないかと思います。

歯と転倒リスク

先日、東京でICOI国際インプラント学会に参加してきました。

当院では、2016年まででインプラント321例の実績があり、現在も行っております。失った歯を補う治療の選択肢として今も人気が高いように感じます。 そして、インプラントは進化し続け初期よりも骨に安定しやすい加工がなされ性能が良くなってきています。

今回の学会では、インプラントについてはもちろんですが『歯を失う』ことにより転倒リスクが2.5倍になることについても話がありました。歯を失ったままにしていると下顎が不安定になり、体のバランスが低下し転倒しやすくなることが原因です。これは、厚労省の研究班の調査からわかりました。

「2.5倍転びやすくなったところでどうなの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、これは非常に重要な話です。 骨は加齢により年々弱くなります。骨が弱くなった方が転倒すると骨折する可能性が上がります。 高齢者が転倒した場合、よく折れる骨に両脚の付け根の大腿骨というものがあります。欧米の研究ではこの部分の骨折をした方は骨折直後の3カ月間での死亡率が通常の方の5倍から8倍になり、この高い死亡率は最長10年間続くという結果があります。

骨折自体が命に関わってくることはそれほど多くありません。しかし、脚の付け根を骨折するわけですから、しばらく寝たきりの状態となってしまいます。その間に体力が落ちてしまい肺炎を起こしてしまったりすることで死亡率が上がるのです。

歯を失いそのままにしている方もいるかもしれません。インプラントに限らず、歯を失った部位には入れ歯やブリッジといった選択肢があります。歯を失いお困りの方は1度ご相談いただけたらと思います。また、残念ながら自分の歯の勝るものはありません。歯をこれ以上失わないようにどうしていくべきかもあわせてお話していきたいと思います。

 

6月4日(旧虫歯予防デー)

【6月4日 虫歯予防デー】は、1928年から1938年まで日本歯科医師会で実地していた記念日でした。翌年から現在までは、6月4日から10日を歯の衛生週間とし歯の衛生問題に取り組んでいます。

その一環として、釧路でも歯科医師会で毎年実地されているイベントがあります。イベント情報を載せたいと思います。

 

【歯の健康フェア2017】

6月4日(日曜日) 10時から

場所:釧路フィッシャーマンズワーフMOO


内容

・歯の健診、相談

・歯磨き指導

・フッ素塗布(中学生以下対象)

・歯科ドック(唾液検査・口臭測定・咬合測定)

・フッ化物洗口体験コーナー体験

・プラーク検査

・エプロンシアター・パネルシアター

・技工士会体験コーナー

・図面・ポスター展示MOO2階

学校健診

春が近づき学生の皆さんは新学期が始まります。

本間歯科は、学校医をしているので今年も4月25日、27日に釧路湖陵高校へ健診に参ります。

時間帯によっては、ご迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願い致します。

『学校健診』は、小学校から高等学校までの12年間は学校保健法で歯科健診が義務づけられており少なくとも1年に1回は実地されています。

大人になると、職場によっては歯の健診があるかもしれませんが、多くはないのではないでしょうか。欧米では、歯周病を「silent disease」=「静かなる病気」と呼んでいます。これは、患者さん自身が進行や再発を自覚することが困難であるということです。また、虫歯も痛みが出てからでは治療が困難になってしまうことがあります。

この機会に一度『歯の検診』を受けてみてはどうでしょうか?

 

チャーリーとチョコレート工場★

皆さんは、ジョニー・デップ主演の 【チャーリーとチョコレート工場】 という映画を見たことがありますか?

 

今日は、バレンタインデーも近いということでこの映画のお話をしようかと思います。

ジョニー・デップが演じるウィリー・ウォンカ氏。彼の子供時代は厳格な歯科医である父親に厳しくしつけられていました。甘いお菓子を食べるなどもってのほか。せっかくもらったハロウィンのお菓子も暖炉に投げ込まれてしまっていました。

ウォンカは、お菓子を全否定する父親に反発して家出をし、お菓子工場を作ります。

 

物語の後半で、家出をしたウォンカはチャーリー(貧しいが家族思いの優しい少年)の手助けで父親と和解するチャンスを得ます。

患者のふりをして歯科医院へ。父親は、診察台で口の中を見て初めて息子だと気付き、虫歯一つないことに驚きます。そして二人は久しぶりの再会を喜びました。

劇中ではっきりと描かれていませんが、厳格な歯科医の父親の影響で、歯に対する知識が身に付き、歯に対する意識が高く、お菓子工場で甘いものに囲まれて生活をしていても虫歯にならなかったのだと思います。

 

歯医者さんもチョコレートは、大好きですし、食べます。正しい知識できちんと予防さえしていれば、甘いものを食べたからといって虫歯になるわけではありません。

当院では、正しい知識をお伝えし、生涯ご自身の歯でおいしい食事をとっていけるよう全力でサポートして参ります。