まだ気温の高い地域はありますが、朝晩は秋を感じるようになりました。
さて、秋と言えば読書の秋であり、食欲の秋。
今日は、最近読んだ本『帝国ホテル料理長の村上信夫の求味ゼミナール』からシャリアピン・ステーキについてお話したいと思います。皆さんも、シャリアピン・ステーキ、シャリアピンソースなど聞いたことがあるのではないでしょうか?
※シャリアピン・ステーキ牛肉を使ったマリネステーキの一種で日本以外の地域ではほとんど知られていない日本特有のステーキ料理。
この料理は、歯に少し関係があります。フランス料理のネーミングには古くからロッシーニやモーツァルトといった音楽家の名前を冠にしたものが登場します。その風習に則ってかはともかくかつて帝国ホテルのニューグリルのシェフをしていた筒井福夫氏が考案し、世界中に広まったシャリアピン・ステーキのシャリアピン氏もロシアの著名な作曲家です。シャリアピンが来日したのは昭和二年。帝国ホテルに滞在したそうですが、その当時シャリアピンは歯周病で困っており、東京に有名な歯科医師がいると聞きそこで歯を抜きました。そのため牛肉が大好きで、滞在中毎日のように食べていた厚い牛肉のステーキを食べれなくなってしまいました。
そこで、筒井シェフは工夫し、まず牛のもも肉をたたいて薄くのばしスジを切り、それを30分ほど玉ねぎのしぼり汁に漬け込み焼き、そしてその上に別に炒めた玉ねぎをのせ出したそうです。
シャリアピンは大変喜び、自分の名を料理の名前に付けることを承諾したそうです。
この料理は、今では歯の良い人も好んで食べる料理として今も残っています。抜歯後や抜歯しなくてはいけない歯を何とか残す選択を自分でした人にとって優しい料理なので知っておくと良いかと思います。
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